最終面接の日のことは、
今でもよく覚えています。
面接開始は10時30分の予定でした。
ところが、
トラブルがあったらしく、
開始時間が30分ほど遅れることになりました。
待合室で待っている間、
焦りだけが大きくなっていきます。
ここまで来た。
でも、
もし落ちたらどうしよう。
そんなことばかり考えていました。
事前にネットで面接対策も調べました。
想定質問も考えました。
最後に聞く質問まで準備していました。
でも、
実際の面接は想定通りには進みませんでした。
社長が来られなかったこともあり、
面接の流れも少し変わりました。
準備していた質問も、
途中で変えることになりました。
やはり面接は生き物だと思いました。
面接中、
なぜか父親の話になりました。
面接官から、
「お父さんはどんな人ですか?」
と聞かれました。
私は、
「温厚な人です」
と答えました。
すると面接官が、
「なるほど。私は昔、お父さんの部下でした」
と言うのです。
さらに、
「よく怒られましたよ」
と笑いながら続けました。
私は焦ってしまい、
苦笑いしながら話を濁しました。
まさかそんな話になるとは思っていませんでした。
それでも不思議と、
面接中は落ち着いていました。
第一志望でした。
そして、
滑り止めだと思っていた会社にも落ちていました。
後がない状況でした。
普通なら緊張してもおかしくありません。
でも、
どこか吹っ切れていたのだと思います。
どうせマニュアル通りにはいかない。
うまく見せようとしても、
きっと見抜かれる。
だったら、
思っていることを話そう。
そう決めました。
私は、
地元で腰を据えて働きたいこと。
後悔したくないこと。
このまま今の人生を終わらせたくないこと。
そんな思いを正直に伝えました。
完璧な受け答えではなかったと思います。
でも、
自分の言葉で話せたと思っています。
面接官は少し粗野な印象の方でした。
それでも、
なぜか目だけは優しかった。
それが今でも印象に残っています。
面接が終わった後、
人事担当の部長が笑いながら言いました。
「多分いけたと思いますよ」
その言葉を聞いても、
まだ半信半疑でした。
その日は梅雨の時期でした。
前日は大雨でした。
でも、
面接が終わった頃には雨が上がり、
空が晴れていました。
不思議なことに、
その空を見た瞬間、
「大丈夫だ」
と思いました。
根拠はありません。
でも、
心の底からそう思えたのです。
私は思わず空の写真を撮りました。
今でもその写真は残っています。
そして、
あの日の空は、
きっと一生忘れないと思います。
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